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病院収入シミュレーション(看護師数が制約のケース)

毎度毎度の 病院収入の考え方(おさらい)

病院収入のおさらいです。

病院収入を構成する要因はいろいろありますが、ここでは、平均在院日数、や入退院数、施設基準の関係だけに絞って考えてみます。

病院収入 = 稼働ベッド × 入院基本料

と簡略化します。これは前のブログで説明した部分ですね。

病院収入の数値例

入退院数、在院日数、必要看護師、のそれぞれにおいての病院収入の表です。

病院収入

まず、入退院数が 4人/日 のケースを計算しています。

 

一般的に病院において、一日あたりの入院・退院数が 制約条件となる場合が多いと思います。このブログを参照ください。

 

看護師数が制約となる場合

看護師 の 売り手市場が続き、 転職サイトの増加、給与の上昇が続いています。

このような場合、看護師の人員が不足するため、やむを得ず、看護体制を落とす、稼働病床を減らすといった対策を迫られる場合も想定されます。 看護師を制約条件として分析してみました。

看護師制約

グラフの見方ですが、例えば、必要看護師数 を 10人 とした場合、 それぞれのグラフが 7対1 から 15対1 に対応する看護体制を採ったときに、もっとも 収入が最大化される 入退院患者数、在院日数 ベッド数 の場合の 入院基本料の合計です。

それぞれのケースの数値は 次の機会に分析するとして、 当然というか意外というか、 どの看護体制をとったとしても 入院基本料に差異が無いような結果となっています。

推測ですが、制度設計を行う際に、当然 看護師あたりの収入などを比較しているのでしょう。

計算前提、数値例は次回にまとめます。

 

 

有床診療所の入院基本料

有床診療所の入院基本料

いわゆる医院での入院基本料ですね。

A108 有床診療所入院基本料(1日につき)
1 有床診療所入院基本料1
イ 14日以内の期間 760点
ロ 15日以上30日以内の期間 590点
ハ 31日以上の期間 500点

2 有床診療所入院基本料2
イ 14日以内の期間 680点
ロ 15日以上30日以内の期間 510点
ハ 31日以上の期間 460点

3 有床診療所入院基本料3
イ 14日以内の期間 500点
ロ 15日以上30日以内の期間 370点
ハ 31日以上の期間 340点

 

となっています。 入院期間が延びると 入院基本料が低下していくのですね。

入院基本料の平均

とすると、たとえば、大体30日くらい入院される患者さんが平均的な場合、一日あたりの入院基本料はいくらと考えておけばいいのでしょうか。

診療所入院基本料

 

入院された方の 入院基本料の累積をとり、それを入院日数で割って、平均を算出しています。

14床、1ヶ月30日で計算し、グラフにすると。

医院入院基本料 グラフ

入院基本料は、入院日数が延びるほど、単価も低下しますので、平均も低下してきます。

入院日数が、30日のところで、入院基本料1 669点、 入院基本料2 589点

入院基本料3 430点 となります。

自医院の平均的な入院日数を把握し、入院基本料の平均を確認すると今後のシミュレーションが便利ですね。

病院収入シミュレーション(グラフ)

病院収入の考え方(おさらい)

病院収入のおさらいです。

病院収入を構成する要因はいろいろありますが、ここでは、平均在院日数、や入退院数、施設基準の関係だけに絞って考えてみます。

病院収入 = 稼働ベッド × 入院基本料

と簡略化します。これは前のブログで説明した部分ですね。

病院収入の数値例

入退院数、在院日数、必要看護師、のそれぞれにおいての病院収入の表です。

病院収入

まず、入退院数が 4人/日 のケースを計算しています。

病院収入をグラフにしてみた

数値ではわかりにくいので、全体を捉えるためにグラフにしてみました。

入退院数が 4人/日 のケース

入退院4人

 

横軸が 在院日数  縦軸が 入院基本料の合計 です。

同様に 入他員数が 10名 の場合

入退院10人

 

同じく 入退院が 20人 の場合

入退院20人

 

 

病院収入 と 看護体制のグラフからの所見

入退院数が 同一の場合  看護体制を変化させても、基本的には 7対1 の場合が 収入は多くなるようになっています。

費用の発生具合によっては、10対1 13対1 に看護体制を落として、在院日数を延ばし、稼働病床を増やしたほうがいい場合もあるかもしれません。

一方、15対1では、 在院日数が 30日を越えるあたりから、7対1の収入を超えてきますので、病床数に余裕があるところは、こちらの選択もありえます。

 

病院収入の検討に際する考慮要件

実際に 運営の現場では、 病床数 の制約、 看護師数の制約 も検討しないといけません。

たとえば、看護師数 を 一定とした場合のシミュレーションも必要と思われます。

(追加)

看護師数を一定としたシミュレーションを追加しました。

病院収入シミュレーション(数値)

病院収入の考え方

病院収入を構成する要因はいろいろありますが、ここでは、平均在院日数、や入退院数、施設基準の関係だけに絞って考えてみます。

病院収入 = 稼働ベッド × 入院基本料

と簡略化します。これは前のブログで説明した部分ですね。

病院収入の数値例

入退院数、在院日数、必要看護師、のそれぞれにおいての病院収入の表です。

病院収入

まず、入退院数が 4人/日 のケースを計算しています。

稼働病床数は 在院日数から、ざっくりですが計算されます。計算式については、在院日数の計算のブログを参照ください。早見表も作成しています。

また、看護体制によって、入院基本料もことなりました。看護体制ごとの入院基本料についてのブログをご参照ください。

収入という欄は、病院収入を計算しています。単位は百万円、一月を30日で計算しています。

たとえば、在院日数21日の場合、 10対1では、42ベッドの稼働が可能で、17百万円の入院基本料となります。 このときの必要看護師数は4名 となります。(最低限 常時4名が必要ということで、夜勤、勤務時間、有給消化を考えると、実際に必要な看護師の人数を検討できます)。

病院収入の分析

確認してほしい点は、10対1で21日稼働させたばあいと、13対1で稼働させた場合では、同じ看護師人数の4名ですが、収入面では10対1で24日まで伸ばしても、収入は増加しないということです。

実際には、より細かい分析が必要となりますが、7対1で 在院日数 19日にて稼働させるよりも、15対1で35日以上稼働させるほうが 少なくとも収入面では多くなります。

当然必要な看護師の人員数も多くなりますが、7対1ですと、実際にはより看護体制の求める人員以上の看護師が必要になることも考えられるので、必ずしも7対1のほうが 利益の面においても有利とは判断できないと思われます。

4月2日 グラフを追加しました。

 

 

 

病院収入シミュレーション

病院収入シミュレーションの必要性

最近は看護師給与が上昇し、転職も多いため、7対1などの基準を満たすための看護師数を確保することが大変難しくなっています。

入院基本料は7対1の場合が一番高くなります。想定される経費などを差し引き利益をシミュレーションしてみますと、7対1が最も利益率が高くなるように設計されているような結果がでます。

そこで、現在の看護師数を前提とした場合に、看護体制を7対1にして、ベッドあたりの基本料を上昇さようと試みることになりますが、そうしますと在院日数が19日以下にならないといけない縛りが生じますので、この場合の必要な入退院数を算定し、これを病院としてクリアーできるかが、7対1をとりえるかの判断基準のひとつとなります。(試算方法は速見表を使うと便利です)

かりにクリアーできそうになければ、いっそうのこと、15対1まで看護体制をおとして、在院日数を延ばすほうが、現状の入退院数のもとでは収入を増加させることができそうです。

この思考過程を数値でシミュレーションしてみます。

病院収入の考え方

病院収入を構成する要因はいろいろありますが、ここでは、平均在院日数、や入退院数、施設基準の関係だけに絞って考えてみます。

病院収入 = 稼働ベッド × 入院基本料

ですが、

稼働ベッドは 在院日数と入退院数の関数、入院基本料は看護体制(すなわち看護師数)の関数です。(在院日数も、看護体制とも関係していますが、いったん無視します)

病院収入 = 稼働ベッド(在院日数、入退院数) × 入院基本料(看護体制)

この式に数値をあてはめてグラフ化してみます。

 

平均在院日数と稼働率の早見表

平均在院日数

平均在院日数の求め方の式は

平均在院日数 =

その期間の在院患者延べ数 ÷ ( (期間の新入院患者数+期間の退院患者数)÷2 )

として計算されました。

この計算式は、単に平均在院日数を求める使い方のみではありませんでした。

こちらのブログで説明していますが、簡単におさらいしますと

①病床が50床ある場合、一般病棟 7対1で稼働させたいので、 在院日数を19日以内で運用したい場合、何人を退院させればいいのか

②病床が50床ある場合、稼働率を80%に上げるには、何人の入院患者が必要なのか

③病床が100床ある場合、稼働率を80%に上げるには、一般病棟で可能なのか、療養病棟にしないと運営できないのではないのか

 

といった、課題に一定の解決策を示すことができました。この計算式は頻繁に利用します。似たような計算ばかりなので、早見表を作成すると便利です。

早見表

 

縦軸は 入院患者と退院患者の合計

横軸は 在院日数

クロスしたところの数字は 稼働病床数 です。

たとえば、入退院が6人(例えば、入院3人、退院3人だった場合) 19日稼働だと 57床 ということになります。

よって、先ほどの課題 ①は50床を19日で運用したいわけですから、入退院は5名 例えば、入院2人、退院3人程度あれば、概ねOKということです。

②50床の80%で40床ですから、20日だと4名、それ以上の在院日数でよければ、4名以下でも稼働可能ということになります。

③100床で80%というと 80床ですから、一般病棟でいくと、8名の入退院が必要となります。在院日数を24日までのばすということなら、6~7名でよいということになりますね。病院の集客力によって、8名は無理なので、在院日数を延ばさなければならない、といった判断が可能となります。

病院収入の最適化は

入退院の患者数、というか、これは、入院患者を集める力ですね、これで、病床の稼働率をある程度コントロール可能となります。

これに別途単価をかけると、一応の病院収入は計算できますが、この別途単価、看護体制により異なってきますので、この看護体制を維持できるか、という別の問題も出てきます。

この問題については、別のブログで検討します。

 

4月2日

病院収入のシミュレーション追加しました。

平均在院日数と稼働率

在院日数と稼働ベッド数

平均在院日数の求め方の式は

平均在院日数 =

その期間の在院患者延べ数 ÷ ( (期間の新入院患者数+期間の退院患者数)÷2 )

として計算されました。

 

在院日数を前提とした場合

しかし、実際に病院経営においては、病棟の種類により在院日数の縛りがあります。

例えば、 一般病棟の入院基本料では 看護体制が

7対1   平均在院日数が 19日以内

10対1  平均在院日数が 21日以内

13対1  平均在院日数が 24日以内

15対1  平均在院日数が 60日以内

 

となっています。

50床の病棟を 19日以内の平均在院日数で稼働させるとしたら、

80%稼働で 40人の患者さんを想定した場合、

19日 = 40 ÷ ( (入院+退院) ÷2)

よって 入院+退院 = 40 ÷ 19 × 2 ≒ 4 人 となり、おおよそ一日の入院と退院の患者数の合計が4人以上必要なことがわかります。

 

入退院の患者数を前提とした場合

また、同じ 4人の入退院の患者さんがいることを前提とすると、 15対1の看護体制に落として、60日まで在院に数を伸ばすとしたら、

60日 = 入院患者 ÷ ( ( 4 ) ÷ 2)

入院患者 = 120人

15対1となると、療養病棟で運営されますから、 稼働率を90%としても、133床の病棟の運営が可能と判断できます。

 

病院によって、稼働率の問題、在院日数の問題、入院患者数の問題、看護師数の問題など、ネックとなるポイントが異なってくるので、 病院収入を最適化するには、シミュレーションが必要となります。

在院日数の基本的考え方はこちら。

4月2日 病院収入のシミュレーション追加しました。

平均在院日数の求め方

在院日数と病院収入

病院の収入を考えると、ベッドの稼働率は高く設定したいものです。

単純に考えると、患者が長く入院すれば、稼働率は上がりますし、さっさと退院させると稼働率は下がるでしょう。

しかし、入院させる期間にも上限がありますし、上限を超えないようにと退院を早めれば、稼働率は下がります。

稼働率が下がれば当然病院収入も減少します。

 

平均在院日数

ここで、平均在院日数の計算を確認しましょう。

その期間の在院患者延べ数
平均在院日数 = ——————————————
(期間の新入院患者数+期間の退院患者数)/2

入退院の平均患者数で、入院患者数を除して日数を計算しています。

 

新入院患者数

平均在院日数を求めるときの変数を確認します。

A 新入院患者数

B 退院患者数

C 在院患者述べ数

D 平均在院日数

B退院患者数は 病院が退院させるか、D 平均在院日数は病棟の種別により上限が決定されます。 Cの述べ患者数は、入退院の結果作られる数値です。

とすると、Aの新入院患者数はこのなかでコントロールが比較的困難です。

集客力の弱い病院では、一般病棟の在院日数をクリアするために、退院を早めると分母が大きくなるため、平均在院日数を短くできます。

しかし、新規入院患者が少ないため、在院患者数も減り、結果、稼働率が低下してしまいます。

在院日数の戦略

患者の集客力が弱い場合、新規入院患者数に上限がありますから、退院患者数により、在院日数をコントロールすることになりますが、稼働率を一定以上確保するためには、平均在院日数の制約を受けますので、病棟編成を見直す必要があるかもしれません。

一般病棟の一部を療養病棟に変更するなどして、平均在院日数の制約を緩め、少ない新入院患者でも、一定の稼働率を確保するという戦略も考えられます。

具体的な数値例は、別のブログで紹介します。